ラコリーナ近江八幡 大地と一体化した藤森建築
滋賀県近江八幡にある老舗 いせやの本社、店舗が集まったラコリーナ近江八幡に行ってきました。
建築史家かつ建築家の藤森照信氏の設計。
藤森さんの建築は、歴史家だけのことはあって、歴史の流れにまったく捉われない独自の建物となっています。
一般の人々が、夢で考えるような建物とでも言ってもいいのかな。現代建築とは離れたスタンスでいつも心が和む建築なんです。
それには藤森さん自身が楽しんで自ら手を動かして考えているのと、それに刺激された職人さんたちが十分に力を発揮できていることでしょうか。
手造りの建築
混みあう駐車場から笹の生える原っぱへ。その向こうに見える緑の屋根の建物に向かいます。原っぱの緑がそのまま建物の屋根まで繋がっているように見えます。
建物の名前は、「草屋根」
道は何本かあって、ここだけでも子供達は楽しそう。とうの昔、原っぱで遊んだ記憶がよみがえります。
「草屋根」の中に入ると、白い壁に黒い点々が散りばめられた世界が。
大きな吹抜けホール
階段の上はカフェ。1階は、老舗御菓子屋たねやさんの商品が並びます。
黒い点々は炭で、ひとつひとつ従業員や職人さんが貼り付けたそうです。
「草屋根」を出ますと、そこには大きな田んぼとその田んぼを囲い込むような回廊。右には銅板屋根が特徴のたねや本社(「銅屋根」という名前の建物)と丸いバームクーヘン工場が見えます。
こちらは、「栗百本」と呼ばれるレストラン棟の庇下
柱も梁も栗
藤森さんは、柱だらけの建物を作りたかったそうです。
柱は、丸太を利用したもの。
窓も面白い。中の柱だらけの空間も見えます。
こちらは、栗百本のトイレに向かう通路
まったく手抜きなし。床と壁の取り合う部分も面白い。漫画の世界観。
さすがに取っ手もこだわります。
こちらは、銅板を貼り合わせた「銅屋根」。たねやさんの本社建物
樹齢200年の神木を生かしたもので、その神木と対照的に丸い銅板でくるまれた塔が伸びていきます。
水平ラインの長い屋根と垂直にもっこり飛び出す外壁
そしてご神木
塔の部分。1枚1枚貼った銅板の陰影が何とも言えない人の手仕事の痕跡が見えますよね。
こんな建物が、訪問者の心をつかむのです。
良いですわ。