圧倒的存在感のある塔の建築 白井晟一 親和銀行懐霄館(かいしょうかん)
長崎県の佐世保市。
昔から港町として栄え、今は佐世保米軍基地があるように日本海軍の重要な港でもあった街ですが、その中に特別な建築があります。
建築家白井晟一が設計した親和銀行本店。白井晟一が親和銀行の設計を始めたのは1963年。そして1967年に第一期引き続きその隣に第2期が完成。
その背後に1973年着工したのが「懐霄館」。残されたわずかな敷地の裏手の山を一部切り崩して建設されたこの懐霄館は機能としてはコンピューターを中心とした電算センターであり、上階に集会室・サロン・展望室からなります。
何と行っても、この建物の特徴は、石の貼られたファサード。高さは41m。
一度、目にしたら忘れられない、そのデザインです。
両側から流れるような局面の壁が、中央のスリットに入り込む。そして空との境には庇が飛び出し、上への方向性をそこで止めています。
石のスリットは下に行くと、4階の丸窓でとまり、その下には赤い大理石の門型フレームがドンと構えます。赤い石は内部までいたり、エントランスを形づくります。
外壁に貼られた石は、同じ長崎県の諫早で採れる諫早石を粗い割肌で積み上げて貼ってもので、ややピンクがかったベージュの外壁。日の光で様々な表情を見せる外壁は、建物に生命感をもたらします。
これは、広場から見た外観。比較的広い場所ができたので、ここからは、外観をみることができます。
同じく児童公園からの姿。最上階の展望室からは、佐世保港を一望できます。
こちらは、近隣駐車場からの姿。
近くに寄ります。
一般のお客さんが出入りするバンケットホールは、1期の建物にあり、そちらはアーケードに面しますが、この懐霄館の入口はどちらかと言えば、裏側の道路に面しています。
見上げたファサード
入口部分
大きな開口部の奥には、3層吹き抜けのホールがあり、下には水盤が設けられています。
ガラスの向こうには横に伸びる手すり壁が見えますが、そこには緑色の大理石と白のトラバーチンによるデザインされたバルコニーとなっています。
営業中で警備もしっかりしているので、これ以上は中には入れませんでした。15年ぐらい前には内部も一度案内してもらいましたが、最近は見学もなされていないとのこと。残念。
玄関の門型フレームと足元は、赤い大理石。それが、そのまま内部へと人を誘い込むように流れていきます。
以前は、門型フレームの赤い梁の部分に「輝いてみえるものすべてが黄金だと思うな」というオヴィディウスの言葉を金文字で彫ったものがあったが、今は良く見えなくなっています。この言葉には白井晟一の想いが入っていました。「聴書歴史へのオマージュ」からの言葉では、「この建物が黄金の輝き以上のものを契機として、尊い人間や心のコミュニケーションの場であってほしいという希いと共に、この建物を造ったのは、述十数万人の諸職の汗と血であって、けっして黄金だけでできたものではないという痛切な述懐をこの建物のあるかぎり、銘じておきたかったから。」とあります。
こちらは、1期との接合部
裏山があった部分の立面。
側面の石壁に放たれた開口部のフレームも赤い大理石