角川武蔵野ミュージアム(3) 花崗岩割肌仕上げ
角川武蔵野ミュージアムの外壁で用いられた石は、中国山東省から出る花崗岩で山水岩というものだそうです。
花崗岩は、普通模様が圧縮されて、縞状にはならないのですが、この石はとても珍しく、横縞が入っています。
とにかくコンセプトは石の塊ですから、できれば無垢石にしたいところ。でも人が造る建築である以上、人の手で持ち上げて、
それを金物に固定しなければなりません。水平垂直の壁に貼るなら、まだ工業化、プレハブ化も可能ですが、61面体となると
機械では不可能。そこで、人が一枚の石をかかげて、それを固定するにはどれぐらいの重さまでが可能か。
だいたい2人がかりで60KGが限度です。そこで、石の最低厚み40mm以上を決めて、石1枚の大きさを決定します。
その1枚の石の板を造るのは、大きな石の塊から順番に石のこぎりで切り出していくわけです。
ある程度の厚みの石を今度は、ハンマーとノミで割っていく。職人の腕次第ですが、割りすぎると最低厚み40mmを切るので
その石は使えません。
今回の工事では、貼られた石すべてをチェックしたそうです。
厚さをレーザーでチェック。石の割れや不純物が入っていないかはすべて目視によるチェックだそうです。
そもそも使われた石の枚数が約20000枚ということで、
検査で2~3割はNGとなるとして、気が遠くなるような枚数ですよね。
さらに、現場では下地の鉄骨フレームに2人がかりではめ込んでいくわけですが、工事足場の上からこれを貼るのも大変な労働です。
それを、やってしまうゼネコン、石屋さんはもう、ど根性以外にありません。
最終的に貼られた石を近くから見るとこのような感じ
目地も綺麗
面の角度が違うので、面が異なる端の部分の石は、石を切る角度も変えてあります。
実に美しく仕上がっています。
石の施工を行ったサンポウさんの話では、もうこの石が採れる山は、中国政府が閉山命令を出したみたいで、あと使えるのは
在庫のみだそうです。この綺麗な花崗岩をこれだけの面積で見れるのは、ここだけかもしれません。