唐津 洋々閣(2) かつて人力車が入った石畳の玄関ホール
外から3枚の木引き戸を開けて中に入ると、この石畳みの玄関ホールが迎えてくれます。
目の前に現れるホールに感嘆。
天井は高く、床は御影石の土間。靴のまま進むと、上がり框があります。
正面は、2段目の境界となるガラススリット入りの4枚引き戸
左手には奥まって茶室の入口のような佇まいのスペースが。
右手には洋々閣と書かれた書が掛けられています。
こちらは、見返し。
外光を浴びた床石が、微妙に弧を描いていいて、真ん中が高く、両サイドが低くなっているのがわかりますか?
実はこの石畳みのスペースは、以前は、外部だったそうです。
そして、人力車がここまで入ってきて、お客様を送り迎えしたとの事。
したがって床の石はいつでも水を掛けて掃除したため、ほとんどわからないような勾配が両サイドに向かって付いていて
両側が溝になっています。
流された水は、溝に沿って外部へ。今も、外部玄関引き戸の両サイドの足元は、掘れていて水が排水できるようになっています。
この微妙な水勾配はまさに石屋さんの職人技です。
さて、内部に戻りまして、茶室のような設えの空間。
ここは、人力車が来るまでのお客様の待合室として作られていたそうです。なるほど。
待合室に入る石段
右手のアーチ部分の中は、お客様の靴収納スペース
そして、靴を脱ぎ内部へ。
1段目の床は、磨かれた塗床
そして2枚目の引き戸を開けるとフロントがある玄関となります。
このスペースは、柿沼さんが改修したスペース。
場と空気が変わり、気持ちも変わります。見事な演出。