谷村美術館 村野藤吾の最晩年作 回廊のある美術館
念願の谷村美術館をようやく見ることができました。
新潟県糸魚川市にある美術館で、彫刻家沢田政廣の仏像の彫刻を展示しています。
設計は村野藤吾
村野さんも沢田さんもどちらも文化勲章を授与されています。
村野さんの最晩年の作品。設計・監理されたのが92歳の時。亡くなられたのが93歳
歳はまったく感じさせない秀作です。
受付を入りますと、まずは長い廊下が続いています。
建物は、シルクロードの遺跡をイメージさせる建物なので、この和風と思っていた回廊がマッチするのだろうかと見る前は思っていましたが、
この回廊は、日本的というよりか、乾燥した大地にマッチしたものでした。
床と壁には同一の仕上げがされていて、繋がっています。壁が大地から立ち上がってきた感じ
コーナーは、丸く曲線を描きます。機能的には訪問者が壁に当たらないようにしたという事ですが、この曲面の接合部が効いています。
廊下を進むにつれて、本体の美術館が迫ってきて、なんとも言えない期待感が湧いてきます。
窓という概念のものが見られず、全ては間接光をとるための凹凸の塊。
建築というよりも、砦という感じは、そのような窓の無い壁から来ているんでしょうね。
さて、廊下ですが、屋根を支える柱はリズミカルな角柱の列柱と思いきや、ところどころに円柱があります。
円柱の足元には、流れの感じられる生きているような石が束石として用いられています。
壁から突き出した梁は、無垢のままと言いますか、水平垂直が削られていない、生木か、あるいは少しだけ手でなぐりを加えた木材。
素の力強さが感じられます。
廊下から内側の敷き詰められた細石。施工時にピンクがかっていたのを村野さんがやり直しを指示。磨いて白くしたそうです。
廊下突き当りの光採りの開口。
開口からは、自然光が反射して入り込み、抜けと空間の拡がりが感じられます。
この部分を直角に曲がると建物の側面に。
正面には植栽。その奥は、間接光を入れる造形が目に留まる美術館本体。ガラスは見えません。
さらに進んで直角に曲がると玄関となります。
両袖壁が付きだして迎えてくれます。床は黒いタイルに変わります。
右に水盤。左は小さな石の庭