祇園祭の文化の保存と継承が行われる郭巨山会所
京都の4条通りには鉄筋コンクリートの背の高い建物が連なっていますが、ここに木造の建物がちょこんと顔を出しています。
高い建物に囲まれながらこの1軒だけ木造があるのかと最初は思っておりましたが、
この建物の奥には、雰囲気のある木造建築が残っていました。
ここだけは別世界。
この建物は、祇園祭の際に、神事が行われる会所というもの。
会所では祇園祭の山鉾をもつ町内でのあらゆる保存と継承が行われます。
そして、町内での人々を繋ぎ合わせる大切な場所でもあります。
郭巨山会所もそのような重要な拠点でしたが、建物の老朽化で建て直しの危機にありました。
今の建築基準法では新しく建て替えるには耐火建築としないといけませんし、このような経年変化をした建築をもう一度
再生することは難しいのです。
設計者は、京都の歴史的建造物に詳しく、法規にも強かったため、京都市を巻き込みながら「京都歴史的建築物の保存及び活用に関する条例」
を上手く使い、既存に増築して、今の形を残しながらも耐震補強した建物に仕上げました。
昨年の建築学会賞も受賞。設計は魚谷繁礼建築研究所
こうして今の形でこれからも街の中心として存在感を出していくと思います。
新旧の取り合いも美しい
昔からあったかのごとく、増築部分も街に溶け込んでいます。