赤星鉄馬邸(1)建築家アントニン・レーモンドの白いモダニズム建築
赤星鉄馬は、戦前の武器輸出で膨大な富を得た赤星弥之助の長男。
大富豪の赤星鉄馬は、そのお金を学術財団啓明会の設立や日本の近代ゴルフの礎を造ることなどにつぎ込んだ。
関東大震災により自宅が使えなくなり、カントリーハウスのある吉祥寺に家を建てることになり、
アントニン・レーモンドに設計を依頼して、1934年にできたのがこの家。
以前、吉祥寺の社宅に住んでいた時に、駅に行く途中で何度もこの白い大きな建物を見ており、普通とは違うオーラを感じていました。
当時は、修道女会として使われていましたが、武蔵野市により保存建物とされることになったという事です。
まだコンクリートの建物が少ない日本での、打放しによる建築。
何といってもエントランスの曲面の壁、そして、水平に長い外観が目を見張ります。
エントランス部分のアールの壁は、人を優しく招いているようです。
この内部は、らせん階段。
大きな庇には丸いガラスが入っていて、光を庇下に落とします。
庭側の立面
1階の大きな窓のところがリビングとダイニング。
2階は柱の間にサッシが入っていますが、1階は、柱と開口部(壁)がずれているので、大きなガラス面ができます。
大きな開口部の前にはパーゴラの屋根が付いていて、リビングと庭が一体になるようなコンセプトが見えます。
建物は長いのですが、途中で折れ曲がっていて、外観上は、緩く庭を囲むような感じ。
バルコニーと庇、横長の開口部が水平ラインを強調しています。
アントニン・レーモンドは、フランクロイドライトの弟子ですから、師匠の大地と寄り添う建築を習っていると思います。
屈折しているところが良いですよね。これには廊下を曲げて、視線を回遊させるという内部からきた意匠設計の結果だと考えられます。
1階のコーナー部分。
サッシや、庇が廻りこんで陰影をつけます。
2階の壁とずれているのも、立体感が生まれています。