村野藤吾 輸出繊維会館 ガラスモザイクタイルが貼られたエントランスホール
さて、もう一つのオフィス側エントランスへと廻りましょう。
こちらは、庇も無く、ストレートに入る玄関となっています。特に特徴もない普通のモダン建築の玄関。
ところが、扉を開けますと、びっくりするような煌びやかな空間が待っていました。
エントランスホールに貼られたのはガラスモザイクタイル。このデザインを手掛けたのは地下のタペストリーと同様堂本印象によるものです。
吹抜けの壁一杯に描かれた文様がエレベーターホールの対面壁にまで続いていきます。
玄関から入ってきた人は勿論驚かされますが、上階から1階に降りてきた人達がエレベーターの扉が開いた瞬間に目にするのがこの色鮮やかな壁というわけです。ここにきて気分が変わるというしつらえです。
エレベーター側の壁は装飾のない壁。これは今からエレベーターに載って上の階に行き、ビジネスをするわけですから、ここではクールな壁とすることで、気持ちを切り替えるという意味があるかと思いました。
エントランス側を振り返りますとこんな感じ。
光が内部にまで良く入るように、玄関ドアの上部にも横長窓が設けられ、そこからの光がタイルを照らします。
ガラスモザイクの壁で彩られたエントランスホールにはもう一つ見せ場があります。それが地下へと降りる階段。写真の左手がそれです。
ガラスモザイクの壁は地下へと伸びていきます。モザイクタイルのデザインもこの階段吹抜け部分は垂直に流れを感じるものでした。壁も緩やかな優しいカーブを描いていますが、その壁とハーモニーを奏でるように美しい階段が人を誘います。