安藤忠雄展 実寸の光の教会
ベトナム建築視察レポート小休止。
今六本木の新国立美術館で開催中の安藤忠雄展に行ってきました。あまりの作品の多さ、展示規模の大きさ、実物大の教会空間まで作ってしまう奇想天外な発想に、あらためて安藤さんの大きさを認識しました。
実物大の光の教会は、確認申請を出して建築物として正式に造ったコンクリート打ち放しの本物。展示会後は、美術館に寄付しますと言ったところ、壊してお引き取り下さいと言われたそうです。何と、やることが大きいじゃないですか。
展示内容も初期の住宅から現代に至るまでの格闘を様々なスケールの模型と写真、図面で説明。見ていて、本当に勇気を与えられる展示会でした。住宅の展示では、住んでいるオーナーの感想が正直に書かれていて、やはり安藤さんの住宅に住むには、施主の勇気と強い意志が必要なんだと思いました。
多くの模型は、安藤事務所スタッフの製作によるものですが、段ボールや、積層ベニヤを用いて安藤イズムも見事に表現されており、ワクワクします。建築関係者は是非見るべき展覧会ですね。
実物大の光の教会の光の十字架
茨木の本物には、十字架にガラスが入っていますが、この原寸展示では、ガラスは入っていません。安藤さんは、当初ガラスを入れない設計をしていたんですが、施主からの寒いという猛反対で、ガラスが入っています。今回の展示では当初の理想をそのまま表現したとか。確かに、ガラスという媒体が無いことで、フィルターを通さず光が直接内部に入ってきて、より鮮明に光を感じることができます。
直方体とそれに少し角度をずらした壁が貫入してくるあたりが、さすがと思わせるデザイン。
展示とは言え、しっかりコンクリート打ち放しの施工がなされています。壊すのがもったいない。
大きな四角い展示室に丸い壁が建てられ、その中は瀬戸内海の直島プロジェクトの模型と、スライドの展示空間になっています。
2000年に、まだ竹中工務店にいたころ、新潟の豊栄図書館のお仕事で安藤さんの建物の施工に関わったのですが、その時のことを想い出しました。あの時に感じた安藤さんのパワーが、今でも更にパワーアップしていて、まだまだ衰えとは無縁の力強さ感じることができ、刺激になりました。