ルイス・バラガン バラガン邸
ルイス・バラガンの自邸は、世界遺産になっています。以前ワタリウムのバラガン展では、自宅の一部の家具を持ち込んで展示をし、ボッタの空間にバラガンリビングを再生していました。またその以前からバラガン自邸は建築家斉藤裕氏により美しい写真で紹介されていたり、安藤忠雄氏が展示会をコーディネイトしていた為、どうしてもその本物の空間を直に体感してみたいと思っていました。それが今回の視察の大きな目標でもありました。
バラガン邸の建つ場所は首相官邸の近くの住宅街で、街に溶け込んでいるため、どれがバラガン邸か区別はつきません。
手前のピンクの建物が最初の自邸で今はオルテガ邸と言われる物。その向こうの白い建物がバラガンが晩年まで暮らしたバラガン邸です。
オルテガ邸でいろいろな事を試作し、バラガン邸ではそれを成熟させたと言われています。
四角い開口部は、書斎・仕事場の明かり取り。なぜ出窓かというと内部に壁の厚みを取り、光を厚い壁に反射させるためです。
この建物、内部は写真撮影禁止のため、雑誌の写真を入れますと
書斎はこのようになっていて、先ほどの出窓が左に見えます。
天井は、5mほど。右手には階段があり、バラガンは2階の部屋から客を迎えにこの階段を降りてきたということでした。
非常に神聖な雰囲気で、正面には祭壇もあり、静寂が支配します。
天井の梁は、そのままリビングまで繋がり、空間的連続性を意識させるものです。
リビング天井も5mほど。大きく開けられた開口部から広い庭へと繋がります。床は外と中が同じレベル。
パブリックな空間は、外部との繋がりを重視し、部屋も連続的につながっています。どこか日本の庭の内部・外部の関係性といったものと同じものを感じました。
庭も瞑想しながら歩いたというものですが、樹木が多く茂って暗い道を歩いていくかと思うと、いきなり芝生の広場に出て、明るい日差しを一杯に浴びます。明と案、解放感と閉鎖感といったメリハリのある空間が庭にも内部にも連続して続きます。
プライベートの部屋も素晴らしいのですが、天井高さはどれも3mを超えていました。
どうも私の感覚ではスケールが少しづつ大きいような気がしました。
ルイス・バラガンは身長が2m近くある背の高い人でしたので、私よりも20cm以上高い分、スケール感も違うのかなと思います。
暗い玄関前室から光溢れる階段吹抜けホールを介して、次々に場面を変えながら部屋が繋がっていきます。一つ一つの部屋には個性があり、どの部屋も安心して佇むことができる場となっています。多くの建築家達が感動した理由がわかる住宅でありました。