笠森観音 観音堂 力強い懸崖造(けがいづくり)の建築
千葉県長生郡長南町にある笠森観音を訪れました。
どこかの雑誌で以前見たその建物の外観があまりにも印象に強く残っており、ちょうど千葉に行く用事があったので立ち寄りました。
この笠森観音 観音堂は、懸崖造と言われる斜面に対して柱を建て、水平面を造り出してそこに建物を建てる造り方の関東での代表例とされるものです。
山や斜面地が多い日本では、水平面を得る為、この懸崖造の建物が各地で造られました。
斜面地に対して柱を建て、水平方向に貫を通し、柱と貫はくさびでとめます。そうしてできた水平面をしっかり剛性を持たせると木による強固なラーメン構造となります。
有名な所では、京都の清水寺。清水の舞台と呼ばれる水平の床は、この懸崖造の最大のもの。
ということで、斜面地にある懸崖造の建物ですから、山の斜面があるところに建っているので、そこまでは登っていきます。
駐車場から階段を上がっていきます。この笠森観音のある一体は、昔からの自然林が保護されており、杉の大木があちらこちらに姿を見せてくれます。
県立笠森鶴舞自然公園に指定されています。
この大きな杉はその代表格 三本杉と言われる、3本の杉が固まった大木
やがて門が見えます。二天門
その二天門の先には崖地にそびえるように建つ笠森観音堂が見え、その迫力におもわず興奮。
片側が斜面のところに建っているのではなくて、大きな岩のてっぺんにそびえるように建ちます。
いわゆる四方が斜面。そこでこの笠森観音の観音堂の構造は「四方懸造(しほうかけづくり)」と呼ばれ、日本ではこの笠森観音のみの構造だそうです。
岩の上に建つ本棟とそこに登っていく階段の棟がバランスよく配置されていて、その非対称のながれのあるファサードが良いですよね。
水平垂直の柱が、有機的な崖の上に建つ姿も美しい。
廻りこむと、確かに側面も柱が岩の上に建って、観音堂が岩に浮くように造られているのが解ります。
どうやって建造したのでしょうか。足場をかけるのも、本体の建築とおなじぐらい大変です。昔の人の技量には驚かされます。