白井晟一 松井田町役場 丘の上の展望バルコン

かなり前から行きたかった群馬の松井田町役場 設計は白井晟一。 ようやく見に行くことができましたが、耐震上の問題から今は何も使われておらず、 残念ながら中にも入れない状況でした。 それでもその建物が建っている環境を自分で確かめて、設計者の意図を探ることは大切です。 松井田町役場は、街が見下ろせる少し高台に建っています。街のどこからでも見える象徴的建築。 横に伸びる曲面を持つ大きなバルコン。そしてその上の屋根とそれを支える連続する丸い柱。 大きく両側にも跳ね出したバルコンを支えるのは石を貼った壁。 ここに白い壁ではなくて石の壁をもってくることで、バルコンに圧倒的な安定感がもたらされています。 しかも違う素材を持ちいることで、バルコンの水平ラインが強く印象に残ります。 軒の出は、深く、2階のバルコニーの丸い柱によって支えられます。丸い柱は、パルテノンの列柱を思わせると言われていますが、 どうも白井晟一自身はパルテノンとは異種と考えていたようです。(「白井晟一、建築を語る」から) 5mスパンの簡単な建物に展望台を兼ねた職員リクレーションの場として、階下に対しては軒の用をしたキャンチレバーのバルコン を考えたそうです。最低費用の建物なので軒の出は2m。それで壁を内側に引っ込めることで奥行を出した。 1階では壁が内側に入り柱型がでてきます。2階は独立柱となり屋根を支えるという構成になっています。 この建物の肝はやはりこの解放されたバルコンですね。   妻面 開口部には深い影が刻まれます。 正面右が入り口 玄関扉の取っ手 玄関ホールです。うねるような人を誘う階段と光の入り方が良いです。