フランク・ロイド・ライト 落水荘(1)
ピッツバーグの中心街から車で2時間近く走り、牧場地帯を抜け、沢山の木々が茂る郊外に落水荘はあります。フランク・ロイド・ライトの設計。ライトの設計人生においては、大きく前期・後期の黄金時代があり、それぞれ特徴のある住宅を設計してきましたが、これは、後期黄金時代を告げる代表的建築です。しばらく続いたブランクを乗り越え、世界にライトの名を轟かせた建築でもあります。施主は、カウフマン氏。氏の息子がライトの基で修行をしていたこともあり、ライトとカウフマン氏は結びつき、郊外に別荘を依頼されます。夏の間川遊びによく出かけていたカウフマン氏は滝を見ながら寛げる別荘を依頼したと言います。普通は、美しい滝が見ることができる場所に建物を建てるのが常套手段ですが、さすがに天才ライトは、なんと滝の上に建物を設計しました。滝は、建物から見ることはできず、ただその水音を聞くことができるのです。
しばらく森の中を歩きますと、やがてベージュの建物がその姿を現します。
右手に橋が架かり、川を見ながらその橋を渡ります。
後ろの岩や山にはりついたように、水平ラインが強調された建物が目の前にせまります。
橋からその建物を覗き込むと、床が岩から豪快に跳ね出し、水盤の上に浮いているようにたたづんでいます。
正面の階段は、川面へと下りていて部屋から川に降りて水遊びができるように考えられています。
それ以外にも川に面してプールがあります。日本だと、川を見ながらの温泉という感じですか・・・。水と戯れる遊び心が一杯です。
廻りの垂直方向に伸びる木々に対して岩から水平に伸びていく建築。その対比は素晴らしく、また上手く自然に溶け込んでいました。