空を拓く 建築家郭茂林のドキュメント映画を見ました
台北生まれの建築家 郭茂林のドキュメント映画 空を拓く を見ました。
戦前日本統治の台湾で、日本教育を受け、努力に努力を重ね東京帝国大学に就職し、戦後は日本国籍を選んで、日本の建築界に影響を与えた人です。特に日本で最初の超高層建築霞ヶ関ビルの建設の中核をなし、多くの建築家をまとめ上げて、工事を完成させたのは、この人だからこそできた偉業でありました。映画では、生まれてからの生い立ちを追い、郭茂林という人の内側を深く掘り下げ、人となりを素直に表現しています。
建築は、一人では出来ない仕事。特に大きな建築になれば、沢山のスペシャリストが集まり、知の集積をしなければできません。それが、まだ日本では誰も作ったことが無い超高層となると、人をまとめあげる為の努力は並み大抵では無いでしょう。
郭という人は、人の良い点を上手くすくいあげるのが上手い建築家で、多くのエネルギーを一つの目標に向かってベクトルをあわせるのに長けた人でもあったようです。また教育にも熱心で、多くの優れた事務所員が郭の事務所から巣立っています。
霞ヶ関の実績を生かし、日本の新宿高層ビル群の建設に成果を挙げ、母国台湾の超高層ビルも数多く手掛けました。
映画の中で若い学生の作品を品評するシーンがあります。その中で住宅とは、人が寛ぎ安心して住まう場であり、奇をてらう建築は良くないと言っています。まったく同感。新しいデザインの創造は、勿論大切なことです。でも建築の本質を忘れてはいけないと郭は言っています。