創業100年の藤森鉄平石の自然石小端積み 地球のかけらを積み込む

ここで、この鉄平石のお話。この石は、長野県諏訪市にある創業100年藤森鉄平石株式会社の石を使いました。鉄平石はおおよそ2400万年前に八ヶ岳のマグマによって形成されたと言われています。火成岩の中でも比較的浅い場所で冷えて固まった火山岩の一種で輝石安山岩だそうです。マグマが冷えて強く板状の層が水平方向に、そして柱状のたて方向にも層ができ、その層を剥がしながら、1枚1枚作っていきます。地表に出ている部分には土が固まった部分があり、深緑の中に褐色の部分ができます、表面しかとれないので、貴重な部分。今回はそんな自然石を小端で積んでもらいました。1枚1枚が地球のかけらで、この大きさになるまで沢山の人の手が入っています。大切に大切に積んでいきます。 建物はコンクリート構造なので、そのコンクリートにまず、十字に鉄筋を止めます。そこに下のほうから順次積んでいきます。一つ積んだらコンクリートと鉄筋にモルタルが絡むように裏込めします。 ポイントとなる石を積み、水平ラインを確認。大きな石は穴を空けて、ステンレスのひっかけ棒みたいなもので、鉄筋と石を緊結。 隙間がうまく合わない場合は、石をハンマーでたたいて割り、形を合わせてまた積みます。 リビングの壁に張る石で、リビングの床は石だらけ。こんな沢山使うのかと思うほどの量です。 セメント、砂を練りながらモルタルを作ります。 ある程度積んだら今度は、裏込めのモルタルをコテできれいに目地に塗り込みます。 この自然石小端積みをきれいにできる職人さんは関東圏にも2人ぐらいしかいないそうです。長年の修練、経験がものを言う世界で、ここまでになるのには何十年といった長い修行が必要です。見ていてもその手際の良さにただただ驚くばかりでした。 これは中庭の高い壁を積んだところ。 鉄平石は強い石で、耐候性、耐火性、耐重性、耐酸性があり、おそらく100年経っても変わらない存在感があると思います。 こうして一つ一つ作り上げていく建築は、やはりできた時の感動と力強さが違うのです。