旧岩崎家住宅ビリヤード棟 スイスの小屋のようなデザイン 金唐皮の壁
ビリヤード棟の内部です。設計者のジョサイヤ・コンドルがスイスコテージスタイルと呼んだそうですが、アメリカ木造ゴシックの流れを汲むデザインで、外観は確かに山小屋風。
屋根を支えるトラス構造や、半円のハイサイドライトなど、暖かみを感じるデザインですが、梁も束の部分もアーチの部分も全て木材に彫りが刻まれていて、質素ではなく豪華な小屋といったところ。
天井を貼らないで、屋根の架構そのものを意匠として表し、高い天井空間を有効に使う。この考えは今も私の設計の基本的考えですが、やっぱり無駄がなく、高い天井が気持ち良いと思います。
壁に貼ってあるのは金唐皮。皮をプレスしてそこに彩色を何度も施すイタリアルネッサンスの技法です。プレスするので、そこに凹凸が出来、その凹凸を上手く利用しながら色を塗っていきます。皮の肌触りと染み込ませた色の深みが魅力的。見た目も触った感じも柔らかくしかも豪華です。京都のチェリデザイン徳力竜生氏は以前紹介しましたが、そのご両親は京都でこの金唐皮を用いた優れた芸術作品を沢山製作されています。私にとっては馴染みの深い材料なのですが、建物壁面に全て金唐皮を貼っているのを見たのは初めて。勿論本館でもある隣の西洋館の部屋内装も金唐皮なんです。
西洋館と地下でつないでいますが、その地下通路に降りる階段
光があたり、凹凸がある部分に反射して何とも言えない趣がある金唐皮の壁です。