アルヴァ・アアルト セイナッツァロの役場 中庭を囲んだアアルトの理想都市

中庭と言う言葉につい気持ちが揺れる私ですが、建物で囲まれた中庭は、やはり建築の最も魅力的なシーンの一つであることは間違いありません。このアルヴァ・アアルトが設計した役場の建物にも魅力的な中庭があります。ユヴァスキュラからほど近くのセレナッツァロの役場は、1952年の完成。コンペで勝利したアアルトは、ここにイタリアのシエナのような都市のミニチュア版の建築を創造しました。市民の広場となる中庭を中心に建物の主目的の議場を塔のように高いところに配置。さらに中庭を中心に会議室、レストラン、図書館、宿泊室を中庭を囲い込むように計画しました。外壁の煉瓦と木製のサッシの開口部のレイアウトとプロポーションの美しさも見どころ 車の広場を前にした立面。左がレストランだったところで、今は図書館となっています。 背の高い大きな塊の部分が議場。塔の高さは17m この大きなボリュームの議場の塔の手前に中庭へと誘う階段があります。 スリット状の開口部が見えます。 これが平面図 建物をぐるりと廻ります。 現地に来るまでは、相当な森の中にあるかと思っていましたが、今では比較的開かれた場所になっています。 塔の部分の大きな開口部は、北側を光を議場内部にもたらすもの。 さらに裏側もこんな感じ。と言いましても裏ではなく十分表ともいえる仕上がり 開口部も掘り深くて良いです。煉瓦の壁の樹木の影が映っています。 更に進むと、正面に廻ってきます。右の棟が図書館 この建物は中庭を囲んだロ型の形状ですが、そこに2つの切れ目を入れ、階段を設け、その階段から中庭へとアプローチしていきます。 これが一つの切れ目と階段 進んでいくと、煉瓦と煉瓦の壁の間から先ほどの議場の塔が見えます。