失われる名建築 芦原義信  数寄屋橋ソニービル

大学に入ってまず見に行った建物の一つがこのソニービル。何がすごいかと言いますと銀座という日本で一番土地の高い場所にありながら、公共広場パークを建物の角に設けたことです。芦原さんは、東京オリンピック駒沢や、国立民族博物館など多くの名建築を残していますが、我々が一番影響を受けたのは「街並みの美学」という本です。都市をいかに楽しく豊かなものにするか等、学ぶべきところが多い本でした。大都会の中にわずかなポケットパークをつくることで、そこが憩いの場になるというのは、まさしくこのソニービルで実証されたのではないでしょうか。このコーナーの広場にはクリスマスには大きなツリーが飾られましたし、水族館のように熱帯魚が泳いでいたこともあります。待ち合わせする場所として最適でした。 最近は薄っぺらい表層デザインの建築が沢山お目見えしてますが、このソニービルの品のある形態とデザインは、設計者の行き方、考え方が現れたものです。 縦のルーバーも実に美しい 内部は、スキップフロアーと言って少しづつ階段で昇っていくような面白い構成でした。そういえば、スキップフロアーのビルなんて、今はまったくお目にかかりません。 ということで、このソニービルも後世に残すべき名建築であったわけです。