日本二十六聖人記念館(1) 建築家今井兼次の想いが伝わる建築
長崎はキリシタン史から生まれ、その歴史を代表する町ですが、そこに昭和37年二十六聖人の美徳、キリスト教の日本での歴史、キリシタン文化を紹介する目的でイエズス会により建立されたのが、この日本二十六聖人記念館です。
26聖人殉教の100周年にあたる1962年に開館しました。
この記念館が建つ場所は、殉教の地である西坂公園の丘です。
正面の大きな壁面には彫刻家舟越保武の26聖人の記念碑が建てられ、その背後に建築家今井兼次の設計による記念館が建てられました。
写真は、26聖人記念碑。後ろのルーバーが入った建物は記念館。
記念碑の前には数段の階段が設けられ、訪問者は自然と、殉教した二十六聖人像を見上げる感じになります。
その大きな壁面の後ろが、記念館の入口です。
壁面の後ろの壁には今井兼次設計のレリーフが見えます。大きな庇を支える太い力強い柱。記念碑と記念館を繋ぐ大きな庇は「殉教の橋」と呼ばれます。
壁の右側には26個がひと房になった葡萄があります。葡萄はキリシタンにとって特別な果実
この壁に今井兼次が表したかったのは、24人+2人のキリシタンが京都から殉教に至る長崎まで歩き続けた苦しい道のりです。
中央にスリットが入った「殉教の橋」を支える力強い柱
記念館の壁に設けられた光窓
外壁にいろいろな種類の石が貼られていますが、その白い面も凹凸があり陰影を生むディテール。
職人の技がないとこのような手の込んだ貼り方はできません。
エントランスに入り、正面にあるこれも今井兼次デザインの26聖人とイエズス会を表すレリーフ
中央には始まりと終わりを表すギリシャ語のA(アルファ)とΩ(オメガ)が刻まれ、「永遠の愛」を表現。
その廻りを26の十字架が囲み、神を礼拝し、賛美し、感謝を捧げています。
そして内部へと導かれます。