日本二十六聖人記念聖堂 聖フィリッポ教会(2) ノアの方舟を連想させる聖堂の内部空間
日本二十六聖人記念聖堂聖フィリッポ教会の内部です。
設計にあたり建築家今井兼次はこの聖堂をノアの方舟にたとえ、船底を表した天井としました。
まっすぐな勾配天井ではなく、舟形のような包み込まれるような天井です。
正面祭壇です。
祭壇の中央の十字架部分では、光の陰影により、聖母がマント(聖衣)をまとったように見えるように凹凸が設けられています。
祭壇の下の壁面には二十六聖人を表現した十字架の真ん中に始め(ギリシャ語のAアルファー)と終わり(ギリシャ語のΩオメガ)、すなわち「永遠の愛」を表すデザインが掘り込まれています。
また向かうべき道へと導く舵を正面祭壇上部と、後ろの壁のステンドグラスに用い、平和の象徴である鳩の形の窓をちりばめています。
天井に開けられたトップライトは左右対称に赤と青のステンドグラスがはめ込まれました。
青は平和の象徴である聖母マリアを表し、天へと願いが届くように。赤は聖霊降臨を表し、天から聖霊がおりてくる様を表しています。
青のステンドグラスのある壁面には聖母マリア像が設けられています。赤いステンドグラスのある壁面には、聖フェリペ・デ・ヘススの御像が立っています。
聖フィリッポは、司祭になるための勉強を終えて、故郷メキシコに帰路の途中日本の沖合で遭難。捕えられ、他の25人と共に長崎で殉教者となりました。当時24才だったそうです。
祭壇の両サイドに開けられたひょうたん型の窓には二十六聖人が捕えられ、閉じ込められた牢屋の格子のメタファーがはめ込まれました。
全てに意味が込められた空間です。