白金台 瑞聖寺 庫裏(2) 木と鉄を組み合わせた、細い柱と浮いたハイブリッドな屋根
さて、じっくりと水盤の廻りを歩いてみます。
綺麗な縦ラインの木壁と、深い庇で覆われた回廊は、歩いていてもとても気持ち良い空間。
この回廊から見る大雄宝殿や鐘塔を含めた景色も都心とは思えない静かな空間です。
水際が鋭く切れて、水盤が強調されていますが、その幾何学的な造形の中に、対比的にしだれ桜が植えられているのが素晴らしい。
見ている位置で表情を変える景観
こちらの木の壁は、ガラスの外側に木のルーバーを設けたもの。
この古い大雄宝殿との対比が良いですよね。
成の高い連続した垂木と屋根先端の細いエッジの効いた軒先。
水盤を挟んだ対面を見ます。
水盤に落ちる光が反射して、木の壁を照らします。
屋根のコーナー部分は、スパッと壁が切り取られていて向こう側の景色が見えます。
壁と屋根だけに支えられている浮いたコーナー。
こちらの屋根の構造が軒裏に表れます。鉄骨をそのまま表現しているのも、変な小細工をせず、良いですね。
梁と柱は鉄骨で、垂木は木造。
それにしても柱が細すぎる。どうやって構造を持たせているのか、さっと見ただけでわかりません。
中庭側はすべてガラスの庫裏。サッシの方立と構造の細い柱が一体となってその存在感がほとんどない、絵にかいたような景色が見られます。
こちらは、大雄宝殿とを結ぶキャンティレバーの庇。
その庇の下に設けられた縦格子も繊細で美しい。
隈さんの建築は、材料の素質を活かした新しい提案でいつも驚かされますが、こうした繊細でプロポーションもよく、かつすぐれた構造設計とのコラボレーションによる見事な空間を作られると、またまた刺激を与えられます。