前川國男自邸の吹抜け空間を確認しに、江戸東京たてもの園に行く
新しいプロジェクトのクライアントさんからの希望は大きな吹き抜けリビング。
2階と1階を繋ぎ合わせるような吹抜けにしたいというご希望。
ちまたに吹抜け空間は沢山ありますが、住宅のヒューマンスケールを考えたとき、これぞ気持ち良い空間だ!と感じられるのはほんのひとにぎりの建物しかないと思います。
それだけプロポーションが難しい。
一番に思い当たる気持ち良い吹抜けはどこか?と考えたとき、前川國男自邸かなと思いつき、再度見に行ってきました。
江戸東京たてもの園に保存されているのでいつでも見れるのが嬉しい。
入口には大きなキンモクセイの木。今、花を満開につけていて、その香が、何とも良いです。
このコロナ禍で、残念ながら内部に入ることができませんでしたが、やはりこの気持ちの良さは一番かな。
横が6・3m奥行が5.4m、高さが4.5mです。
天井の高さが一番肝心。
2階のギャラリー書斎の高さは、吹抜け側が2.1mと低めですが、そこがミソなんです。
高すぎると、安心感が損なわれ、2階との連続性もそがれる。
吹抜けに階段あることで、空間に流れが生まれますよね。
このスケール感はコルビジェのユニテなどのモジュールからきていますが、本当に素晴らしい。
シンメトリーな外観も美しい。上部の格子窓と下部の引違窓のプロポーションも抜群
開口部部分を1350mmほど引っ込めていることがデザインのミソです。
伊勢神宮の棟持ち柱のような象徴的な柱も効いています。
陰影が出る窓廻りの納まり
反対側の庭と、サッシとの関係性。
浮いて見える開口部。
戦後の資材不足から家の大きさも制限されている中で、この気持ち良い家を設計したわけですから、さすが前川さんです。