熱海MOA美術館 葛飾北斎展が面白い
東海道五十三次の絵で有名な葛飾北斎の展覧会が、熱海のMOA美術館で行われていました。
非常に見やすい展示空間の中で、北斎の富獄三十六景をじっくりと鑑賞できました。
大波の絵は特に有名ですが、そのほかにも秀作が沢山あり、あらためて葛飾北斎の素晴らしさを発見できました。
とにもかくにも、動きのある構図が素晴らしい。
静止しているような絵が多い西洋の絵の世界に北斎の絵がどれほどインパクトを与えたのでしょう。
こちらは歌舞伎役者。困ったような表情に何となく笑いが・・・
今に続く、江の島もこのような感じだったのですね。
富獄三十六景「相州江の嶌」
こちらも素晴らしい構図に魅かれました。
水門の間の富士山
そして馬を引く人と釣り人の配置。流れがあり、富士を見る人の感動が伝わってきます。
冨獄三十六景 「武州千住」
大井川を渡る風景「東海道金谷ノ不二」
川のダイナミックな流れの描写や、大勢の人足の躍動感ある描写が素晴らしい。
旅人は1人の人足に担がれ、荷物や籠は大人通で運んだんですね。
これは、風の強さを表現した1枚
風で飛ばされそうな旅人、飛んでしまった傘や紙類。
木々は風でたなびいています。その向こうにはドーンと鎮座する富士山
動と静の見事な対比
「駿州江尻」
建築もしっかりと描かれています。
勾配屋根は富士山の裾野の拡がりと同じ角度で。
屋根ふき職人の投込む瓦も動きがあります。
日本橋界隈
整然とした蔵が川沿いに並んで、美しい街並みを形成
むこうには江戸城とさらに先に富士山。
富士山はどこにいても見えたのですね。うらやましい限り。
そして、この絵は峠を越える旅人を描いたもの。「甲州犬目峠」
こちらは、強い波に打たれながらも魚を獲る漁師
この時、藍い絵具が新しく手に入り、その絵具を用いての絵画
藍色が美しい。躍動する波の描写は天才的ですね。