世田谷猪俣邸 重なり合う瓦屋根
猪俣邸の外観の特徴は何と言いましても。低く抑えられたように見える瓦屋根の意匠だと思います。
天井が高く、居室ボリュームが大きな居間にまず、大きな切妻屋根を架けます。
つぎに、居間となりの夫人室の部分は屋根のボリューム感を抑えるために、一段低くなった屋根を架けます。
夫人室と居間の屋根はずらして重なるように配置。
さらに、天井高さを必要としない和室には更に低い屋根を架けます。
3段の切妻屋根。
そして増築部分の書斎の屋根は、あたかも連続するがごとく、上手く屋根が架かっています。
大きな屋根を架けると平面と立面の整合性が難しい。大きなボリュームの居間とその後ろに控える食堂や台所をまとめてしまうと、そとから見たときに圧迫感がでます。
そこを上手く処理しているのが各所に設けられた中庭。この中庭を設けることで大きな屋根を分節してボリュームを抑えています。
玄関入って見える大屋根の妻面
都内の建築では、敷地の大きさに限度があり、屋根全体が見れるような敷地の引きがなかなか取れませんが、こうした屋根を架けられる地方においては、なかなか参考になるデザイン手法です。
外の道路からの外観
こちらは、茶室へとつづく屋根構成。うねる廊下を見事に媒体にしています。
茶室
茶室の庇部分