村野藤吾 梅田吸気塔 銀色に渋く光る都市の彫刻
もう35年ぐらい前、大学の予備校に通っていたとき、よくこの吸気塔の前を通り過ぎていました。何だか不思議なものが建っているなーと心のどこかに記憶されていました。久しぶりにこの吸気塔をじっくり眺めました。5つの塔が地面から生まれたのごとく力強く伸びています。表面は銀褐色の曲面体。曇り空なのでその金属体が益々渋く光ます。もうこれは建築ではなく都市の彫刻。
設計は村野藤吾。阪急デパートをはじめ多くの昭和建築が新しく建て替わる中、力強く街のシンボルとして立ち続けます。
村野さんは建物を計画する中で、模型を粘土で作り、その形態を粘土を削ったり貼っ付けたりして作りこんでいきました。まさにこの彫刻もそんな製作スタディーの中で生まれたんだと思わせる形態ですよね。
後ろのガラス貼りの建物はフランス建築家の巨匠ドミニク・ペロー設計の富国生命ビル。ガラス貼りのバリバリモダン建築と対比してみると更にその形態の面白さが解ります。