前川國男 弘前こぎん研究所(木村産業研究所) 曲面壁のある貴賓室
こぎん研究所の平面図です。
1階のガラスホール、バルコニーがやはり目玉ですが、しっかりピロティーや屋上庭園も設けられており、実にシンプルながらも奥の深い平面図なんです。この図面だけではやはり建築の空気感はわかりませんが、設計者の頭の中はいろいろな場面が作られていて、それが3次元で実現しているんです。1階の玄関ホールからまっすぐ廊下を歩きますと、右がわに貴賓室があります。ここは応接室的な使い方もされたのでしょうが、特徴は曲面の外壁。自立した円柱をぐるりと回るように壁が外へと伸びていきます。そこには勿論横連窓の開口部。モダンですよね。これが80年前に現れたときは、さぞ、驚いたでしょう。
玄関から続く広い廊下
廊下から玄関部分の見返し。光がふんだんに入ってきて明るい感じがよくわかります。
貴賓室
アールの壁と横連窓の開口部そして独立して建つ円柱
その貴賓室を外から見ますとこんな感じ。
コンクリートもその時代によく綺麗に造られていると思います。
左が正面と繋がる円柱で持ち上げられたピロティー
この建物はDOKOMOMOに選ばれていますが、実際見て体感して、その意味が良く解りました。これからも大切に使われて、次の世代にもきちんと残していきたい名建築だと思います。