石は積むものでなくて貼るもの。建築家村野藤吾の世界

建築家村野藤吾設計の箱根プリンスに立ち寄りました。ホールの素晴らしい意匠と空間は有名で、以前プログでも書きましたが、今回はロビー横にある喫茶から見た腰壁の石を見て感動した話。 私が石を壁の仕上げとして使う時、まず考えるのは、石は地面から積まれていてその重量感や厚さが感覚でわかるような石仕上げとしたいということです。従ってペラペラな石はできるだけ避けて厚みがあり、小口にもその石の厚さが目でわかるような工夫をしてきましたが、建築家村野藤吾は石は積むのではなく、貼るものであると言っておられたそうです。確かにいくら厚さを見せたくても、結局はコンクリートに貼っているのがほとんどですので、そちらの方が正直な見解だと言えます。 この腰壁に貼られた石もそんな感じですが、なんとも暖かい、趣のある貼り方です。職人技が生きた、まさに建築家の真骨頂。 もう30年ぐらいは経っていて、しかも外部ですので汚れていますが、またこの汚れた感じが僕は好きですねー。