ルイスカーン ソーク生物学研究所 空に向けてのファサード

ルイス・カーンは、私の最も好きな建築家の一人ですが、その建物のひとつソーク生物学研究所を見に来ました。20数年前はじめて訪れた時の感動は、今でも想い出します。 コンクリート打ち放しの造形、仕上げの美しさと開口部にはめ込まれたチークの開口部 の対比。ほぼ完ぺきにゾーニングされた配置・平面計画。 多くの印象をもたらした建物を今回再度訪問することができて幸せでした。 何といいましても、東西に分かれた研究員の宿泊棟の間にあるこの中庭が圧巻です。 研究者がほっと一息できる場としてこの中庭は、随分カーンは悩んだそうです。 木を植えて森のようにするべきか、整然とした庭にするべきか。 結局、メキシコの建築家ルイスバラガンがこの場に足を運び、現地を見、「ここは1本の木も草も植えず、石と砂のプラザになるべきである。そうすることによってファサードが出来るんだ。空に向けてのファサードが!」というう言葉に同意し、こうなったそうです。 何もないトラバーチンの床の真ん中を水が太平洋に向かって流れます。 全てをそぎ落とし、これしかないという答えではないですか。 完璧な静寂が支配する空間。詩的な空間です。