アトリエBOCO 鉄の作家 小林秀幹の世界 鉄の芸術的な手すり

建築と人が触れるところ。それはまず床です。だから床の素材にはこだわりますよね。というのも人の感覚というのは言葉では言えないほど繊細なので、肌が接する部分に関しては、物の良し悪しや、柔らかさ、素材の持つ優しさ、暖かさがだれでも感覚的にわかるんです。床の次は手すりやドアの取っ手でしょうか。人と建築が握手する非常に大切な部位です。今回本郷の家では階段の手すりを鉄を叩いたものにしました。製作してもらったのは、鉄作家である小林秀幹氏。彼とは一つ前の住宅からのお付き合いですが、その鉄の触り具合が最高なんです。鉄を連想しますと固く冷たいというイメージが湧きますが、実際に取り付いた手すりや取っ手は肌触りも良く、握りやすく、しかも暖かさを感じるんです。作家の性格がそのまま作品となっているのかもしれません。 階段に付く浮いたような流れを感じる手すりです。 2階から3階へはまっすぐな階段ではなく回り込んだ階段なんですが、このように手すりもうねるように曲がっていきます。芸術的でしょう?作るのは非常に難しいのですが、本当に美しくできています。 これは地下へと降りる階段についた手すり。 奥にあるのはバーカウンターなんですが、この机と椅子も小林氏のデザインです。木が鉄から浮いたような感じを与えるもので、しかも鉄がしっかり主張しています。見事な造形。椅子は、オーナーの趣味がギター演奏ということもあり、ピックをイメージしたものとなっています。 小林秀幹氏は鉄作家なので、オブジェも沢山作られています。年に何度か個展を開かれてますが、これは秋にあった八ヶ岳倶楽部での個展。廻りの緑にうまく溶け込むようなオブジェが置かれています。 風で頂部が動きます。静かな空間の中で風の流れを感じる作品 どの作品を見ても、暖かみを感じると共に、どこか生活を豊かにしてくれるような楽しい仕掛けや工夫が盛り込まれていて、見ていて飽きないものばかりでした。