樟(クス)の床 唐長の唐紙天井 珪藻土の壁をもつ和モダンのトイレ
トイレには神が宿るを言いますが、住宅のトイレはやはりそれなりに趣がほしいところではあります。勿論清潔感が一番なんですが、1人になれる小さな宇宙なので、気持ち良く気分転換できる場になれば良いですよね。この住宅のトイレは和モダンというコンセプトで作りました。オーナーも材料の知識が豊富で、一緒に京都唐長に見学に行った際、唐長の店舗を見て、これでいこうということになりました。天井には竜の絵柄の唐紙を貼りました。白い塗装やクロス、木天井はよくやりますが、絵柄の入った唐紙を貼るというのは初めての試み。でもその落ち着いた雰囲気や、ちょっとした遊びごごろが、トイレ空間を別の世界に導いてくれます。
床がこれまた貴重なクスの板材
工務店は、むかしから茶室や本格的和室を得意としていますが、和室に使われる貴重な材をストックしていて、ここぞというところで提供してくれます。最近は本格的和室をつくるオーナーも減り、ストック材を使う機会が減ったので、これからの世代に生かせるようなところに有効に使うようにしているそうです。
トイレに入った途端に、このくすの木の香りがします。もう100年ぐらいは経っている材なのですが、表面をきれいに削りますと中身はしっかり生きていまして木材の生命力というものに驚かされました。
やはり無垢の材には力がありますね。