グンナール・アスプルンド 夏の家 外とつながるダイニングと地面の勾配を生かした段差のある立体住宅

グンナール・アスプルンドは、この夏の家を設計するのに、土地の持つヒエラルキーというか特殊性を生かしながら、できるかぎり地面に合わせた設計を試みています。岩山から湖へとなだらかに下っていく地面のスロープの上に白い家をのっけて、その家の内部は、地面の勾配に合わせながら段差を設け、大地になじませているのです。あくまでも元にあった自然を尊重した設計をしています。 さて、まずはダイニング。リビングに続くダイニングも建物を分割して配置したその隙間から湖が見えるようにしました。そして、その湖の方にダイニングからもダイレクトに出られる扉を設けています。外に出られる扉はあちらこちらに付いていてこの家が外とのつながりをいかに大切に考えられているかが良く解ります。 コーナーの壁に囲まれた落ち着くダイニング。ダイニングテーブルは両サイドを折りこんで小さくできます。 コーナーのキャンドル台や、照明も可愛い。 湖に向かって開けられた窓 その窓の左側は、外部にダイレクトに出られる扉 外からみますとこのような感じ。地面の段差が解ります。左の窓がダイニングの窓 階段側面にはブルーの塗装 再び戻ってダイニングをぐるりと廻ります。 壁はクロスやべったり塗られた塗装では無く、木の細い板を貼ったものに塗装を施しています。この手法も当時斬新なデザインでした。 コーナーに本棚 階段が3段あって、その奥が廊下となり、先の廊下の右は子供部屋です。 その廊下。左は、玄関と繋がる庇下の空間へ出る扉。コート掛けや腰かけがあります。 窓と窓の間には、飾り棚。グンナール・アスプルンドの家族に対する暖かさが伝わります。 さらに4段の階段があり、その先がキッチン これがキッチンで、正面右にも外に出る扉。扉の外は、庇の下になっていて、ここで魚をさばいたり、料理の下準備ができるスペースとなっています。 扉を出て、外からこの外部の料理スペースを見てみますとこんな感じです。 もう一度内部に入ってキッチンをぐるりと廻ります。 キッチンにも朝食や軽い食事ができるテーブルと椅子を配置 さらに廻って、廊下に戻ります。 キッチンの廊下側の壁は、薄いブルーが塗られた壁でした。 今度は、レベルの一番高いキッチンから廊下を見下ろします。 左は2段ベッドのある部屋。そして右のカウンターの下は、沢山の引き出し収納になっています。ここからの景色はなかなか面白い 子供部屋からこの引き出し収納のあるちょっとしたスペースを見ますと さらに下ります。 ドアの先が先ほどのダイニング。そして、右が玄関で、正面右の扉の先にリビングが広がります。 奥へ、奥へと繋がりながら拡がる家。床段差によって視線が移る家。外とあちらこちらで繋がっているので、外部のような内部のような楽しさもあり、狭さや窮屈さは、全く感じません。本当に良く考えられている秀作だと実感しました。