生まれ変わった石の建築 明治生命館

御堀端に今もその雄姿をみせてくれる明治生命館。竣工は昭和9年。その後、大戦やGHQの接収、復興、平成13年から16年の改修、修復と高層ビルとの一体化を経て今に至ります。多くの昭和の建築が表だけを残して内部は取り壊される中、この明治生命館は、その内部も保存、しかも実際に使いこなされる活きた建築として今も現役です。今回ゆっくり見学してきました。 まずは、外観。意匠は古典主義建築の伝統的3層構造からなります。下の基壇階、その上に5層分を貫くコリント式柱が並ぶ主階(ピアノノービレ)そして屋階(アティックストーリー)の構成。設計したのは岡田信一郎。昭和9年といいますとヨーロッパではバウハウスはじめ、近代建築が生まれた時代。日本ではまだまだ和洋折衷主義の建築が多いなかでしたが、本格的な古典主義の石の建築を岡田信一郎は、一度も渡欧せずに設計しています。相当な知識と努力がこの設計には込められています。 夕陽を浴びる外観 基壇廻り コーナー部分