軽井沢エロイーズカフェ 旧ハーモニーハウス(3) 緩やかなスロープが空間にリズムを与える
スロープのある建築で頭に浮かび、体感した経験があるのは、ル・コルビジェが設計した住宅のラ・ロッシュ邸や、サヴォア邸。エントランスホールから2階の展示空間に登っていくストックホルム美術館、そして日本ではレーモンドの夏の家、名護市庁舎の外部スロープでしょうか。全体のスケール感やスロープを含めた空間の豊かさという意味では夏の家が好きですが、いずれにせよ、スロープは建築装置としてどこかに使いたいものであることは確かです。階段と異なり、時間の流れがゆっくりしていて、その場の空気や廻りの環境を味わえながら移動することができます。気持ちも入れ替わるだろうし、途中で休んでも良い。今の慌ただしい時代に、ちょっとしたゆとりを与えてくれる装置だと思います。
さて、軽井沢で吉村順三が設計したエロイーズカフェにもスロープが付いています。半層ずらした部屋と部屋を結ぶスロープで、半地下の食堂と音楽ホール、そして半層上がったステージを結ぶもの。スロープがそのままホールに組み込まれていて、大きな四角い空間にリズムを与えます。
スロープの上にはトップライト
こちらは、ホールレベルから見たスロープ
こちらは、ステージレベルから見下げたスロープ
手すりもとても大切。
柔らかい包み込むようなライン。握りやすく、滑るようになめらか。
吉村さんのお言葉