広瀬鎌二 上小沢邸を見る(1) ミース・ファンデル・ローエを彷彿させるミニマムデザインの建築
武蔵工大の先生でもあった建築家広瀬鎌二氏の設計した上小沢邸を見学しました。
竣工は1959年ですからもう60年経つわけですが、いまでも十分斬新な建物。そのチャレンジ精神とディテールの素晴らしさにはただただ
感動。
残念ながら取り壊されるそうですが、どこかに移築してでも残しておきたいものです。
まずは、外観。
水平、垂直の構成。プロポーションの綺麗さは目を見張ります。
まっすぐな水平な屋根スラブ。それに対して直角に手前に伸びてくる壁。視線を受ける腰壁。綺麗な立面構成です。
この腰壁は竣工した当時の写真では煉瓦積み。
緊張感の中にも温かみのある素材を混入させた外観でした。
こちらは、庭側からの立面
水平の薄い屋根スラブが空間を切り取ります。
この水平スラブの室内側に梁を出さないようにするために梁は屋根側に逆梁の形をとっています。
中央の屋根から出っ張った部分は、後工事のガラス屋根を取り付けるための壁。
ガラスブロックによる天井採光をとっていましたが、漏水の為、仕方なくガラス屋根をその上に設けたそうです。
したがって、竣工時は、全くの水平屋根スラブ。 しかも白い塗装でした。その為空に浮くような軽快感があったと思います。
その水平屋根スラブの下は大きなガラス開口とコンクリートブロックによる壁
ガラス開口部は水平にスライドしてブロック壁に納まるようになっています。フルオープンな開口部。
今ではアルミサッシ、木製サッシで簡単にできますが、60年前に大した技術もなかった時代にこれをやってしまう。
凄いとしか言いようがありません。今の自分を振り返ると、ここまで挑戦的に新しい事にチャレンジしているのか?と問われているような気がします。
サッシ下の水平スラブは後の工事。これは神保哲夫氏による2004年の設計です。
天井はコンクリートブロック11段分ですから天井高さは2200mm。
低いのですが、天井までのフル開口サッシの為、まったくその低さは感じません。丁度安心できる高さ。