改修されて、新しくなった 坂倉準三設計の鎌倉文華館(旧神奈川県立美術館)
鎌倉の鶴岡八幡宮の敷地内にある神奈川県立美術館は、その役目を終え、解体か保存か検討されていましたが、めでたく鎌倉文華館として新しい道を歩くことになりました。
別館は解体。
本館は、耐震改修し、外壁も新しく補修。内部も大掛かりな改修工事を行い、竣工当時の色彩に戻され、新しくなりました。
見事な改修工事。その工事の内容をつぶさに展示する展覧会が連休中に開かれていました。
こちらは外観
新しいエントランスは、境内の鶴岡八幡宮へ向かう参道側から入れます。
こちらは、以前のエントランス部分の外観。新しい玄関とは反対に位置していました。
この階段を上がって展示空間を見て、下るという動線でしたが、新しい建物では1階からアプローチ
設計したのはコルビジェの日本人弟子3人の内のひとりである坂倉準三。
もともと、この美術館には多くのアクセスがあってどこからでも美術館に入れるというコンセプトで造られたので、
新しいエントランスもありですね。
どこからでも入れる自由な開かれた美術館。今でも十分使えるコンセプトです。
外壁のパネルも塗装されて、ジョイントのアルミバーも新規に。
1階の大谷石も一度解体して内部の構造鉄骨を耐震補強。
耐震スチール格子パネルを入れて、新しい大谷石を積みなおしています。
そのディテール
中庭の床も当初の日本的な非対称の模様に。床は玉石の洗い出し
サッシも解放感のあるものに取り換え。こちらは、旧エントランス側の窓で、1階から階段を上がってくると、中庭まで視界が突き抜ける構成
こちらは、池を前にした日本的な軒下空間。
鉄骨の柱もグレーから濃いダークブラウンに塗装されました。
あいにくの雨でしたがこれもまた良し。
2階からこの庭へとおりてくる階段。手すりが好きです。
床は、目地を入れて、モルタルで仕上げたもの。
モルタル仕上げの床は好きですが、前面やるとどうしても収縮クラックが入ります。
こうして目地を入れることで、その危険性はほとんど無し。左官による相当な手間がかかっていますが、出来栄えはすごく日本的で良いです。
2階のバルコニー。
展示空間の合間にこのテラスがあって、外とつながる。気持ちが切り替わる平面計画です。
ながれるような階段手すりも好きだな。