谷村美術館(2) 大地から盛り上がる建築 築40年
村野さん設計の箱根プリンスと箱根樹木園を学生時代に初めて見たときに、建物が大地から繋がっているようなディテールに衝撃を覚えました。
ザラザラした吹付仕上げがなだらかに地面に潜っていく。そして植物が建物際まで入り込んできて、生きているような建築でした。
この谷村美術館の足元もそんな感じ。
まるで根っこをはやしているがごとく、台地に溶け込んでいきます。
モダニズムでは建物を浮かし、台地から浮遊するような建築を目指しましたが、それとは真逆。
石や、松、楓の植木の配置も面白い。自然に生えてきたような配置です。
こちらの立面は、どこか仏像の横顔を連想させます。
重なり合う壁
植木との一体感
廊下の瓦屋根には建物完成当初は、沖縄の琉球瓦のように漆喰が塗られ、瓦と漆喰が溶け込んだよりバナキュラーな外観をしていたそうですが、今は風化して、その塗りの部分は無くなっています。
美術館から出て再び廊下へ。
庭から見た外観
回廊
回廊遠景
入口部分にある粘土模型
村野さんのスケッチを粘土で模型屋さんが造り、それに村野さんが手を加え、次第に形を整え、製図に以降する。
そのような工程を繰り返しながら、村野建築はできていきます。
1983年竣工 ですから築40年
時間の概念を超えた建築です。