アテネ・フランセ 吉阪隆正の建築
ル・コルビジェの元で所員として働いた日本人は3人。前川國男、坂倉準三、そして吉阪隆正。
吉阪隆正は、登山家でもあり世界をまたに、多くの山々、集落を歩き、そこから得たバナキュラーな考えを建築に生かした建築家でもありました。
また教育者としても優秀で、多くの優れた建築家達を世に送り出しました。
地域性を活かした建築。本当にその場所に根をおろした建物が多いのです。
さて、弟子達が作った象設計集団の建物もとても好きですが、その師匠の建築はあまり見てない。
ということで、今回は御茶ノ水にある代表作のひとつ、アテネ・フランセを見に行きました。
まずは外観。
高い尖頭のような階段室の塔とピンク色のコンクリートの壁。
一目でこれは只者では無いとわかる外観です。
今僕が建設中の建物もピンク色にしようと思っていますが、なかなかこの色も奥が深い。
アースカラーの赤土色したピンクから、ソメイヨシノの薄いピンク色まで様々です。
こちらのピンク色は、アンデス山脈の夕日の色だそうです。この色も奥深いピンク色。
決して下品では無く、またけばけばしさもなく、隣のダークな紺紫色との対比も良いですね。
この色を決めるには相当検討したと思います。
棟は階段室、コンクリートの塊は階段やトイレ等のコア部分
建物にはアテネ知識、工芸、技芸の神様である女神ミネルヴァの横顔の掘り込みがいくつもしてあります。
紫の塔の部分にはいくつものミネルヴァが掘り込まれています。
こちらの壁面にもミネルヴァが。
日本でいうところの学問の神様菅原道真公か。
また塔の上にはフクロウの風見鶏。
フクロウはミネルヴァの属性で知恵を運ぶ鳥。
全てに意味がある装飾です。
エントランス庇
大きな壁面の塊に対して水平ラインを強調した浮いた庇が目に留まります。
ピンクの外壁に開けられた文字や小さな開口部
夕方明かりが小さな開口部から漏れてきます。
なんだか暖かいね。