猪股邸ー庭と一体になる大きなリビングルーム
今日で震災2年です。復興はまだまだこれからですが、寒い中希望を持って我慢強く働いておられる方々には頭が下がります。私も心を大地に据えて、しっかりとやるべき事を着実に進めていきたいと思います。
さて、猪股邸の続きです。
この建物で一番大きな部屋であるリビング。天井も高く、柱もない大空間です。庭に面する開口部の扉は、ガラスから雨戸、網戸に至るまで全て壁の中に隠れます。ここでは、多くの客人を迎えて宴が催されました。
開口部外の右には茶室が見えます。茶室は離れのように見えますが、実は裏の通路で繫がっています。利便性がありながら、見た目は、別邸のように見える。平面図を見ますと、実に苦労の後が見えます。
床の間のような飾り台の床板は、何重にも塗られた漆。
工場で塗ったあとで、現場でも何回か塗り重ねられたそうです。手間と技術、金額を考えると今ではほぼ出来ないもの。
照明の廻りのルーバーは、空調の噴出し口です。
空調機をそのまま壁に付けるなんて野暮なことはしません。42年のこの当時の技術でもそこまでこだわって作りこんでいます。
庭は、拡がりを持ち、開放感であふれています。
深い庇は、雨の多い日本から建物を守り、夏の日射から人を守ります。
やっぱり日本の建築は、庇を出来る限り出したいものです。