国立新美術館 黒川紀章の自由なファサード
日展が行われていたのは六本木にある新国立美術館です。何度か行きましたが、今回改めて体感し、設計者の自由な発想が解ったような気がしました。
大きな展示空間は四角い箱で、それが横に繋がっています。そのスクエアーなマッスな空間の全面にあるのがカラスアトリウム。美術館としての機能はしっかり確保し、自由にできるホワイエ空間をかなり楽しく遊んだという感じです。でも中に入って1階のラウンジでお茶を飲みながらじっくり味わってみますと、四角い展示空間から伸びた丸い列柱のある部位と、ガラスの自由な曲線で覆われたアトリウムが重なり合い、そこに円錐のコンクリートの塊が貫入することで、かなり複雑で楽しいものになっています。光が円錐のコンクリートにあたり、一刻一刻変化する影を楽しむこともできます。黒川さんは、中間領域や共生といった間の場というか日本的なあいまいな空間を多くの建物に取り入れてきましたが、このアトリウムもガラスという媒体はあるものの外部と内部をあいまいにつなげるものであると感じました。
海外ではよく見かけるスケールの大きいアトリウム。でも形が複雑なので連続性があり、終わりがはっきりしないところが良いと思います。