光を採り入れ、風を通す階段 緩く昇りやすい階段
さて、階段を昇ります。トップライトからの光が壁を沿うように落ちてきます。
上を見上げると屋根まで吹抜けているので、高さをここで感じます。小林秀幹氏の手すりも気持ち良い。
2階に上がって階段振り返ったところ。カウンターの先に置いてあるのは徳力竜生氏のガラススタンド
この建物は大きな吹抜けというものはありませんが、階段に吹抜けとしての役目を持たせています。上からの光を下の階まで下ろします、そして屋根のトップライトを空けることで、下階の空気を上昇気流で逃がすこともできます。視線も上下へと抜けていくので、室内空間を広く感じることができます。この建物は、大きな塊をくり抜いて、そこに部屋をつくるというようなイメージで考えました。従って壁も天井も左官による珪藻土塗り仕上げです。天井と壁の境がないので、ボリュームとして感じられ、中に居ますと建物に優しく包まれているような気がします。この階段の壁の施工は大変な技術が必要です。壁左官仕上げは、鏝のパターンがあるのですが、この鏝パターンは人によって癖があり、皆違ったものになります。従って今回この大きな壁は一人の職人さんが最後仕上げました。何人かだ同時で塗っていきますが、下地をする人、仕上げ前の下地をとる人、そして最後パターンを付ける人。という具合です。
私が設計する建物の階段はできる限り蹴上を低くして、昇りやすくしています。建物が小さい場合、階段が占める面積を少なくするため、急階段にしますが、私はしません。階段を昇ることで気持ちが少し変わる。そんな楽しい階段をこれからも求めていきたいと思います。
2階メインフロアーです。階段を介しての光がリビング・ダイニングを暖かく照らします。奥の壁右側は、トイレの扉。その左が3階へと登る階段。そしてダイニングです。右はテレビ収納のカウンター