村野藤吾 横浜市庁舎 グリッドの美学
久しぶりに横浜市役所に立ち寄りました。仕事でしょっちゅう来たことがありますが改めてじっくり見ました。この横浜市役所は1959年竣工ですからもう56年。設計は村野藤吾。高層棟と中層棟の2つを2階建て低層棟が結ぶというC型の配置。
外観はコンクリートの柱と梁によるグリッドの中に、開口部やベランダをリズミカルに配置し、間の壁面には優しい感じのタイルを貼ったものです。柱は上階に行くほど細くなり、シンプルな外観に縦方向のリズムを与えます。構造計画をそのまま外観に表現したものですが、実に美しい。ここにはプロポーション、窓の配置や形状、タイルの色の微妙な変化等かなり綿密に検討された跡が見えます。多くの税金をかけて耐震補強をしたというのに、違う場所に新しい市役所が計画されており、この名作も取り壊される運命にあります。次の世代にも伝えないといけない建物なんですがね。
全体像。左が高層棟で右が中層棟。それを手前の低層の会議棟がつないでいます。
低層棟は、1,2階が吹抜けの市民ホールになっていて、どちら側からも市役所にアクセスできるように入り口がいくつも設けられています。
高層棟のリズミカルなファサード。柱と梁、開口部とベランダが実に美しく配置されたモダン建築。白い電波棟がまた村野さんらしい可愛いデザインです。
年数を経て大きな樹木に覆われた関内駅側
高層棟へのダイレクトなアプローチもなかなか緊張感があって良いです。
中層棟は、少し形態を操作。単調さを避けるデザインがなされています。
市民ホールへの入り口部分
厳しい予算の中、これだけの建築を生みだした村野さんの力量には本当に刺激を受けます。