東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)(1)室内に噴水のある家
現在、東京都庭園美術館として使われている旧朝香宮邸の建築見学が行われました。
建物そのものが美術館というコンセプトのもと、普段の展覧会では閉じられる開口部のカーテン等も全て開けられて、
邸宅として使われていたそのままの姿を見て回ることができました。
平面図1階
正面玄関から入り、大広間に繋がった次室に噴水が置いてあります。
今は水が流れていませんが、当時は勿論上から水が優しく流れ落ちていました。
ここに、香水をたらし、ほのかな香りが部屋全体に香る仕組みになっていたそうです。
何と、優雅なことでしょうか。噴水のある次室から大広間を見ます。
次室からは、第一応接室と小客室へと入ることができます。
左の扉が第一応接室。右の扉が、小客室。天井の何段にもなった間接照明も美しい。
第一応接室
こちらは、大客室
大客室と次室も扉をあければ、一つの空間に。
大客室の大食堂側
朝香宮ご夫婦は、パリで滞在中にアールデコ展をご覧になり、すっかりアールデコに魅了されて、自宅をアールデコ調で造ると決められました。
設計は、フランス人芸術家アンリ・ラバン。
日本での実施設計はと監理は、宮内省内匠寮工務課の技師、権藤要吉。アールデコの本物がこの館には随所に盛り込まれています。
このシャンデリアもしかり。
ガラスの見事な細工仕事と天井の左官仕上げによるデザインがマッチしています。
真下から見たところ
窓との関係性
柱の頂部にはコリント式の柱頭が彫られています。
間仕切りの鋼製扉の細いスチール枠にはめられたエッチングガラスのデザインも見事です。
別の扉エッチング詳細
デザイナー
食堂空調吹き出し口の鋳金デザイン
食堂サイドボードの鋳鉄デザイン
暖炉の上のペンギンの置物
大食堂のルネ・ラリックの照明器具
どの部屋もそうですが、天井の左官仕上げがとにかく美しいし見事です。
コーナーの部分の納まりなんて涙物
真っ直ぐではなくて、少し膨らみが付いた優しいデザインですが、これを作るのは至難でしょう。