吉村順三 山脇和アトリエ山荘 細いコンクリート柱で持ち上げられた宙に浮くアトリエ空間
軽井沢で、建築家吉村順三が設計した画家山脇和のアトリエを見学しました。
脇田美術館の敷地内に建つ2階建てのアトリエ。
吉村さんは軽井沢に森の家を設計していますが、丁度同じ時期に芸大の先生仲間でもある画家の脇田和氏から依頼をうけて設計。
脇田美術館には何度か訪れて、アトリエは外観だけは見ていますが、内部に入るのは今回が初めて。
友人のファイスブックで公開日を知り、すぐに申し込んだら見れることになりました。
30分のツアーでしたが、至福の時間を持つことができました。
まずは、外観から。
脇田美術館から見たアトリエです。2つのブロックに分かれていて、左が脇田さんのアトリエ。右が居間を含めた居住空間です。
左のアトリエ部分は、長方形の平面。右の居住部分は、水平、垂直のない不整形の平面
軽井沢は湿気が多く、しかも建設当時は廻りは林で、この場所は湿地帯だったそうで、吉村さんは自分の軽井沢の別荘と同じく
2階までコンクリートで持ち上げ、そこに居住空間を持ってきました。
吉村さんの軽井沢の森の家は、長方形でグリッドモジュールで設計されていますが、この敷地を見て、L字に曲げて庭を囲い込むような形にしようと決めたそうです。
ピロティー状に持ち上がる2階の床。柱ピッチは、規則性がない自由な配置。
2階のコンクリートスラブは、梁型が出ないフラットスラブです。だから横ラインが強調されて、流れを感じるんです。
奥にある階段から2階玄関に上がります。
2階の開口部が大きく見えるのは、開口部の立ち上がりの壁が低いから。
屋根は3寸勾配で、庇の出も大きく、軽快感があります。
こちらは、プライベートなベッドルーム部分。1階は屋外で食事もできるように水栓、手洗い場があります。
少々高いのは、実は施工時に高さを間違ったそうです。でも吉村さんは、床デッキを高くすることで、やり直しはしなかったそうです。
臨機応変に対応されたんですね。
庭とは反対側から見た立面。2つのブロックのジョイント部分。廊下と手洗いがこの細い部分に配置されています。屋根の架け方が実に自然で上手いなぁと思います。
煙突は、暖炉の為の煙突。当初、煙が室内に出てきたりして上手く暖炉が燃えなかったそうですが、煙突の高さを高くすることで、上昇気流が生まれ、解決。