吉村順三 山脇和アトリエ山荘(3) 隠された空調・暖房システム
脇田和アトリエ山荘が建つ軽井沢は、避暑地なので夏は快適ですが、冬はそれなりに寒い。
快適に過ごすために吉村さんが考えた暖房システムは、韓国のオンドルのようなものでした。
1階のボイラーで温められた空気は、ダクトを通り。中庭に面する大開口の下端に送られ、その暖かい空気は
2階の床下デッキプレートの中を通ります。デッキプレートは波型の鋼板で、鉄骨造の床によく使われるものですが、それを使用。
波型なので、空気の通り道にもなるわけです。
送り出された暖かい空気は床を通り、ベンチテーブルの奥の窓下のスリット開口から部屋内に流れ、部屋を暖めた後
庇の下の障子鴨居のスリットから吸い込まれてボイラー室に戻るというもの。
窓の下の台に設けられた吹き出しスリット
そして、大開口の天井に設けられたレターンのスリット開口
エアコンのように風を感じることなく、快適に過ごせるシステムなんです。しかも、見えない。
よく見ますと、発砲ウレタンが見えます。この当時に断熱材として最初に使われた例のひとつと言われています。