白井晟一 杉浦邸 大きく跳ね出した屋根と黒石の雨落ち
庭からみた杉浦邸の外観です。大きく跳ね出した庇は、白井晟一の住宅に見られるもので、そのプロポーションもまさに白井作品。
そして、雨樋はなく、そのまま雨は庭に落ちます。雨が落ちる雨落ち部分には黒い那智石が敷かれています。雨の落ちる音が心地良いでしょうね。これだけ庇がでているのは、一つの理由として室内の床の高さがあります。床を低くして、室内が庭と連続する空間をつくりだしているからです。1200mmはあると思いますが、これだけ出すと、雨も心配ありませんよね。
庭から寝室・和室方向を見ます。
リビングと客室方向を見ます。
丁度折れた部分が、リビングのくの字の開口部
コーナーリビング前の雨落ち部分
縁石のディテール
壁と床の取り合いです。
壁が床まで下がってきて、そこに通気スリットが入っています。
屋根の部分のスリット
基礎は石
最後に道路側の塀です。
瓦が載り、塀に趣をもたらします。
この白井晟一の幻の住宅杉浦邸もついに取り壊されました。
ここには数件の建売が建つそうです。景観も安っぽいものに変わります。
相続の関係もあり、住手だけではどうにもならない問題ですが、住宅トラストや区役所を巻き込んだ保存ができなかったのか。壊した建物は2度と同じものはできません。白井晟一が設計した杉浦邸も間違いなく後世に伝えるべき建物でした。残念です。